G杯全国大会in吉羽園

落葉樹が少しずつ色づき始め、身軽そうになった栗の木を見ていると、本格的に
突入した秋に気付かされる。
実りの秋とも、収穫の秋とも言われるが、自分自身の実りをどれだけ収穫出来る
秋になるのか?!


10月16日(日)
この日から2日間、埼玉県幸手市のFA吉羽園にて『第33回G杯争奪ヘラブナ
釣り選手権大会』が、開催された。
幸運にも予選を通過出来た自分も、この日の為に2回の試釣をして、万全の体勢
で臨んだ。


だが、試釣後の池の状態は非情に悪化していて、前日、当日の午前中の試釣を
した人達の話では釣れないとのこと。あと、場所ムラもあるらしい。


大会1日目は11時30分の現地集合で、12:30〜15:30までが第一試合となる。
自分は9時頃に現地入りし、少しだけチョーチンでエサを打ったが、魚は居る
感じで、釣れないことはないな、と、安易な気持ちでいた。


座席抽選をして、自分のブロックと、釣座が確定する。ブロック6人で、同じ
メンバーで2試合をこなし、上位3名が準決勝へ進む。
昨年は準決勝へ進めなかった。
自分の釣りを見失い、渋い地合いを攻略出来なかった悔しさだけが残った。
二の足は踏まない。
今年は気持ちで負けないようにしたい。


しかし、地獄のような第一試合が待っていた。


席に着き釣りの準備をする。
隣は何と仲間。なかなかのくじ運に笑えた。


試釣で出た答えは短竿チョーチンウドンセット。
当然、チョーチンをするつもりできた。
大方の予想通り、8割の選手が、短竿チョーチンウドンセットで挑んでいた。


竿8尺
タナ チョーチン
ミチイト1号
ウキ『 葉舟・創・浅ダナPC0.8mm 7 』
ハリス 上0.5号8㎝ 下0.4号35㎝
針 上改良ヤラズ8号 下角マルチ3号。
バランスは、食わせのタピオカつきで3目沈め。
12時30分。第一試合が始まる。
せめて触り位は出るだろうと思っていたが、エサの重みで沈没するだけの繰返し。


隣の友達は、どんどんハリスを長くし、バラケはカチコチ。
自身『シャクラー』と称するだけあって、徹底的にシャクリまくり、アタリを拾っ
ている。
見渡す限りチョーチンでは、一番釣っていたように見えた。
開始から40分が経過したが未だにアタリらしいアタリもなくデコ(ToT)
平静を装うのにも限界がきて、何とかこの状況を脱する為にウキを替える。
この時点で隣の友達には6枚も離されていた。


最近のブログの内容だと、この辺から一気に捲るような字面になっていくのだが
この日はなかなか上昇気流に乗れなかった。


ウキを『 葉舟・槐・極太パイプトップ 8 』 に替えて、ハリスを伸ばす。
タナにバラケをぶら下げ、遠巻きの魚を1つずつ拾っていく。


待望の1枚目は、バラケのボソを大分殺したしっとりタッチ。
やや待ち気味に釣りを展開していくことを余儀無くされた。
隣の釣りに比べて、アタリの数は少ないものの、アタればヒットする。


ここは我慢。
この状態では攻めても無理(>_<)
抜きの釣りは効かない。
上ズリばかりで、タナにヘラが入らない。


回遊があった時に、いかに取りこぼしのないように拾うか。
もう、それしかない。


ハリスを40㎝にし、バラケのボソはほとんど残ってない。
デカ粒の追い足しによってボロッボロッとバラける感じのエサ。

釣れる時はパタパタ釣れる感じで第一試合は終了を迎える。


10枚、6.4㎏
ブロック内では4位。
隣の友達は7.4㎏で2位。
同じブロックの人が全員 チョーチン釣りだったこともあり、混戦模様だった。
しかし、全体的に見ると、浅ダナの独走が目立った。
チョーチンが悪すぎたと言うのもあるが、もう、浅ダナをやるしかないと思った。
試釣で消した釣り方だったのに…


夜、ホテルの宴会場でレセプションが行われ一人一人壇上で挨拶をし、翌日の
意気込みなどを言うのだが、その中で、大先輩の言った一言がズキンと、胸に
響いた。


『命懸けで釣る』


気持ちで負けないように…とか思っていたが、完全に負けている。
ここは夢の全国大会。
滋賀や新潟まで行った苦労は忘れてはいないか?
一緒に予選を戦い抜いた仲間の分まで頑張ると決めた気持ちはどこに行った?
自問自答をし、部屋に帰ってひたすら針を結んだ。
捨てていた浅ダナの用意は万全ではなかった。
0時頃、ハリスが無くなるまで結び寝に入った。


10月17日(月)
大会2日目。
まだ薄暗い中、各自釣座について準備をする。
1回戦第2試合は6時〜9時の3時間。


竿10尺
タナ 1m
ミチイト0.8号
ウキ『 葉舟・楓浅ダナ 4 』
ハリス 上0.5号 下0.4号 7−40㎝
針 上改良ヤラズ6号 下コム4号
釣り方はウドンセット。バランスは、食わせを付けて3目出し。
バラケ
粒戦1+とろスイミー0.5+パワーX1+水1.5+セット専用1+GTS1+浅ダナ一本1
食わせ
タピオカ、力玉大粒サナギ粉漬け


合図と同時にエサ打ち開始。
最初は動かないだろうと、馴染んだら切るを繰返していこうとしていたら、3投目
にフワッとした触り。
ジャミかな?と思ったが、段々触りがハッキリとしてきた。


アタリらしい動きには積極的に手を出していった。
すると、スパッと歯切れの良いアタリでヒット。
型は良くないが、不安な立ち上がりだっただけにとても嬉しかった。


カラツンが続いたのでハリスを徐々に詰めて行くと、25㎝でヒット率がUPした。
40分経過時で7枚と、上出来な序盤戦になった。
やはり、チョーチンは全体的に良くなかったようだった。


少し気持ちに余裕が出てきて、冷静に釣りが出来たと思う。


タナまでギリギリもつ感じの小エサのバラケで、触らなければ待たずにどんどん
打ち返した。


アタリが遠くなると下ハリスを伸ばし、バラケも抜き気味にして、触りが消えな
いように努めた。


9時になり、1回戦第2試合が終了する。


21枚 10㎏台でブロック3位で準決勝へ駒を進めることが出来た。


準決勝は桟橋上の人数が半分になる。
当然、魚の取り合いは和らぐ。
ずっと思っていた通り、チョーチンウドンセットで行く。


きっと、浅ダナで負けたら後悔してしまう。
試釣ではチョーチンしかないと思っていたので、やるしかないと言う気持ちで迷
いなどは一切なかった。


座席抽選をして、4人一組のブロックが6つ。
ブロック1位のみが、ファイナル進出となる。


準決勝は10時〜12時半までの2時間半。


慌ただしく片付け、抽選、移動、また準備、と、短時間の中でこなさないといけない。
あっという間に開始時間5分前になり、デカ粒がないことに気付く(ToT)
対岸で応援してくれている仲間に告げると、車までダッシュして、自分のエサを
持ってきてくれた。
そんな姿を見ていて気合いが入らない訳がない。(えんちゃんありがとう(T^T))


1回戦の状況を見ていて、少し深めから探っていく。


竿9尺
タナ チョーチン
ミチイト1号
ウキ『 葉舟・創・浅ダナPC0.8mm 8 』
ハリス 上下0.5号 8−27㎝
針 上改良ヤラズ8号 下角マルチ3号


釣り方はウドンセット。
バラケ
粒戦1+とろスイミー0.5+パワーX1+水1.5+セット専用1+GTS1+段底1
食わせ
タピオカ(太麺)


人数が半分に減ったので両隣は空けて座席を設けている。
定刻になり準決勝が静かに始まった。
右隣の段底がいきなり絞った。こちらは、沈没するだけの繰返し。
右の人は開始10分で3枚と、絶好調。左の人は8尺の長ハリスで釣れ始まる。


まだアタリらしいアタリは1度もない。
しかし、焦りは全くなかった。


短ハリスのセットの為、決まれば必ず抜けれると信じていた。
試釣では下ハリスが短い程、型が揃った。なので前半はじっくり接点を探った。
ボソから入るも、いまいちな感じなので、少しずつ手水を打ちボソを殺していく。
開始20分くらいが経った頃ようやく1枚をゲット。多分、ブロック内では最後
に型を見たのではないかと思う。


余り開き過ぎは良くないようだ。浅ダナ1本を追い足し、水に浸してあるデカ粒
をふたつまみ小分けしてあるバラケに投入。


この手直しが良かったようで、アタリが続くようになり、楽しくなってきた。


8尺でも釣れそうなので、回転を考え9尺を仕舞う。


この変更は大きかった。


良いカラツンが出てきたのでハリスを24㎝に、針を3号から4号に。
煽りを余り出さない方がアタリが早く出る。
と、あまり普段考えないことに気が付き、そこを徹底的に狙い撃つ。


バラケに更に浅ダナ1本を追い足し、タッチをしっとりさせ、ウキを完全に沈没
させる。


大きな縦誘いは魚を上ずらせ、糸ズレの原因になった。
なのでこの時は、深く沈没させたウキのトップの先端から、多くて3目までしか
水面上に上げない誘い幅にした。


触りは上げたウキが再び沈没する時に、微かにフッとつっかえるもの。
3回の縦誘いの内にその動きがないときは、深く沈没させた位置で切っていく。


すると、徐々にタナが出来ていった。
入りにガンガン触らせるいつもの自分のスタイルではなく、静かに沈没させ、微
かな触りのあとにでるアタリを拾っていくという、地味な感じの釣りで、枚数を
重ねていった。


たまにシラッとした感じになると、エサ付けをラフにして、集魚効果を高めた。


15枚でフラシを交換した。


調子に乗ってハリスを20㎝にしたが釣れなかった。


まだまだ池の状態が本調子ではないようで、決まりそうで決まらない状態が続く。


ハリスを27㎝に伸ばしたり、針を3号に戻したりと、単調な釣りにならないよう
にした。


必ずファイナルに残る!


その思いだけだった。他の人よりも1グラムでも多ければ良いのである。
賭けに出る必要はなく、目の前のアタリに合わせていくだけ。


ブロック内の浅ダナの選手が、後半イレパクになる。
こちらは、失速気味だ。


残り時間も30分を切った。
元エサに戻り、ボソを打ってみる。
触りがある割に釣れない。
多分、この日の傾向だと思う。


バラケの抜けた直後の下げ誘いが、思いの外威力発揮した。


ポツポツながら、拾うことが出来、自分の中ではやりきった感があった。


12時30分。準決勝が終わる。
26枚 17㎏台。


ダメか〜(>_<)
正直、そう思っていた。


集計が済み本部からファイナル進出者6名が発表される。


ドキドキしながら聞き耳を立てた。
そして。。。
何と!その6名の中に自分の名前も呼ばれたではないか!!(゜ロ゜ノ)ノ


ビックリした(*_*)


直ぐに桟橋上で決勝戦の座席抽選をして、カメラの前で意気込みなどを聞かれ
つい調子に乗って、
『てっぺんを狙います!』
などと言ってしまった(^o^;)


夢にまで見たファイナル進出が現実になった。
ここまで来たらホントに狙うぞ!!


例のごとく準備時間が少なく、新たにウキのバランスを取る時間などなく、
準決勝の時と同じ、8尺チョーチンウドンセットで、タックル、エサも同様で
挑むことにした。


勝戦も競技時間は2時間30分。
だが、時間が押されていた為2時間20分へと短縮されてしまった。


あとは今まで通り普通にやるだけ。
そう自分に言い聞かせスタートの合図を待つ。


13:10、静かに決勝戦が始まった。


検量後の放流が影響しているのだと思うが、桟橋上には6人しか居ないのにウキ
が動かない。


バラケに手水を打ち、デカ粒と浅ダナ1本を追い足し、先程と同じように釣って
いく。


静かに馴染み切りウキは沈没。
そっと縦誘いを2、3回して切るを繰り返す。
誘い幅は、水面上に1〜3目が出るか出ないか。
短いハリスのせいだと思うが、ここでもスロースタートだった。
でも、そのうち釣れ出すはずと、自分に言い聞かせ我慢する。
すると10分位経った頃、縦誘い後に沈没したウキが『ダッ』と水中ドカン。
1枚釣れてホッとしたと同時に『さぁ、これからだ!』と気合いが入る。


バラケが抜けた直後に下げ誘いをすると、釣れる釣れないは別として、かなりの
確率でアタリが出た。


特にカラツンが多い訳では無かったが、ハリスを20㎝に詰めると、ハッキリとし
たアタリが、早いタイミングで出るようになり、少しずつ釣りにリズムが出てき
た。


試釣では、18〜22㎝の短ハリスで決まったので、あの日の展開になれば……
内心ニヤリ(  ̄▽ ̄)
しかし、試釣と違うのは、入りにあまり触らせてしまうと、アタリに連動し辛い。
いつもなら、両だんごの釣りのように、馴染みながらガンガン触らせて行く方の
が好ましい感じなのに、この時は違った。
ふわふわするだけで、アタッたとしても、カラツンや、スレ。


ボソを手水で弱め、浅ダナ1本の追い足しによりバラケが優しくコーティング
され、上層での触りを少なくし、シッカリとエサ玉をタナに届ける。
このままでは、タナでの開きが物足りないので、それを補う為と、インパク
を与える為のデカ粒投入。


食い気のあるヘラは、タナに入ったバラケに興味を示して近寄ってきて、バラケ
た粒子を吸いながら、エサ玉の近くにあるウドンを誤飲する。
そんなイメージで釣り進む。


なるべく待たないように心がけ、手返しを休まないようにした。


1時間ちょっと経過した辺りだったと思うが、いきなりアタリが飛ぶ。
頭の中は???
他の選手も同じような状況になったらしい。


この時、いつも応援してくれている人達の顔が浮かんできた。
正面を見れば、仲間達が戦況を見つめている。
期待に応えることってなかなかそう出来ることではない。
まして、自分の場合はこの時を逃したら、いつ次のチャンスが訪れるか全く
わからない。
やれることはやらなければ、絶対に後悔する。


ハリスを一時的に28㎝に伸ばし、バラケを元エサに戻す。
開きの良くなったバラケを打ったことにより、ガサベラが寄ったのか、馴染み込
みの触りは増えた。
だが、この日はどうも、上で騒がせると釣果に結び付かない。
ここまでの調整だと、手水を結構打って柔らかめのタッチにしていたが、ほんの
少しの手水で、浅ダナ1本を追い足し、ネバボソに近いタッチにしていくとバタ
バタ釣れ出す。
15枚でフラシを交換した。
このタッチで釣れ続くかと思ったが、そうは行かず、また失速。
どうも、コロコロ魚の量が変わるようだ。


ハリスを20㎝に戻し、魚の量に合わせて28㎝にしたり、変化をつけながら釣っ
ていく。


バラケも基本は柔らかめのタッチで、アタリが飛ぶと元エサに戻ったりと、対応
していった。


アタリは縦誘い後に出るものが大半を占めた。
やはり準決勝と同じで、沈没させ、先端から3目までの狭い範囲の縦誘いをし
タナを意識しながら釣っていった。

誘いは多くて3回までとし、エサを切るときも、馴染みきった位置で切ることを
徹底した。
トップが沈没する瞬間のアタリが多く、手が出なかったものもあった。


試合も大詰めになり、竿を絞る度にギャラリーがざわつき始めた。
報道陣の連写のシャッター音や初めての経験をさせてもらった。
最後の最後まで集中し、全身全霊をかけて釣りをした。


15時30分、G杯が終わる。
カウンターは途中から押すのを忘れていた。
多分、26枚位か?
16.8㎏


いままで、釣りをしてきてここまで疲れたことはないくらいの疲労感が全身を襲
ってきた。


仲間が来てくれて片付けを手伝ってくれた。
みんなが言うには、自分は結構良い位置にいるようで、誰が優勝かは発表を聞く
までわからない。


そして、表彰式が始まり、6位の人から順番に発表され、3位までに自分の名は
なく、2位以上が確定する。
次の発表は2位ではなく、優勝者の名前が呼ばれ、自分は2位になった。


欲を言えば切りがないが、2位と言うのはこんなにも悔しいものかと、実感した。
でも、このような大きな大会で自分が2位になれたのは、まぐれ以外にない。
これは、謙遜でもなんでもなく、ホントにそう思う。


ただヘラブナという生き物を相手にする競技だけに、何が起こるかわからないの
も事実。
誰にでも平等にチャンスはあるんだと思う。


来年はシード権があり、無条件で全国大会出場が出来る。チャレンジャーという
立場は変わらないので、また、悔いの残らない釣りを心掛けて頑張りたいと思う。


最後に、応援してくれたみなさん、本当にありがとうございました(^_^)v


tom



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今回ブログ書き込みに使用された、「創・浅ダナPC 0.8mm」 「楓・浅ダナ」
「槐・極太パイプ」 のラインナップは下記アドレスにて、是非一度、御観閲
下さい。


葉舟ホームページURLは以下の通りです。
http://www8.ocn.ne.jp/~herauki1/